オリジナルの私

 

 

  

 忙しいと人間、何を考えるかわからない。このところ、ずーっと忙しい日が続いていたせいで、今、私は重大な悩みを抱えているのだ。

 娘とはなるべく一緒にいたい。日に日に成長する娘の姿を、ずーっとそばで見ていたい。はじめて○○をしたときの様子や、初めて○○を食べたときの表情や、初めて○○を話したときの状況など、いろんな「初めて」を私は娘と共有したいと思う。

 それから、掃除も洗濯も、自分でやらなくちゃ気が済まない。夫は実に家事に協力的なのだが、なんせ、独身寮時代に畳からキノコをはやしたというツワモノ。いくら、「ちゃんとやったよ」と言われても、なんとなく信じられないのは、きっと私だけのせいではないはず。

 もちろん、仕事だって、すごく大切。人に頼めることも、ついつい自分でやってしまうのは、この仕事が本当に好きだから。今のこのパワーと情熱を持って受験に臨んでいたら、どんな大学も楽勝だったのではないかと錯覚するほど、毎日机に向かっている。

 それから、好きではないけれど、やらなければならないモロモロのこと。本当に、身体がいくつあっても足りないくらいだわ。。。ああ、「私」が2,3人いたらなあ。「私」なら「私」じゃないけど「私」なんだから(ややこしいね)、掃除も洗濯も安心して頼めるし、娘との時間も「私」が共有するわけだし、最高だよなあ。

 と、ここまで考えて、ハタと気が付いた。「私」じゃない「私」に忙しさを分担してもらったとして、いったい、オリジナルの「私」は何をしたいんだろうか、と。

 毎日ゴロゴロとテレビ三昧ってわけじゃないよなあ。青い海の上でリゾートを満喫っていうのは悪くないけど、現実味がないし。育児か?家事か?仕事か?遊びか?

 休日で家にいた夫を興奮して呼びつけ、これこれこうなのよ、と説明してから、悩んじゃうのよねえとつぶやいたら、夫は一言、こう言い放った。

 「ヒマなら掃除手伝えよ。」

 こんなシュールな夫を持って、はたして私は幸せなのだろうかという新たな悩みを抱えつつ、先の懸案はずーっと頭の片隅に置かれているのだが、今のところ、明確な答えを見いだせないでいる。

 そして、今日も、人間って忙しいと何を考えるかわからないわよねえ、とアンニュイな溜め息をついては悦に入っているのだった。

 

 

 

 

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